はんしちとりものちょう 15 たかのゆくえ
半七捕物帳 15 鷹のゆくえ

冒頭文

一 老人とわたしと差し向いで、五月の雨のふる日曜日を小半日も語り暮した。時節柄で亀戸(かめいど)の藤の噂が出た。藤の花から藤娘の話をよび出して、それから大津絵の話に転じて、更に鷹匠(たかじょう)のはなしに移る。その話を順々に運んでいては長くなるから、前置きはいっさい略して、単に本文だけを紹介することにした。 安政六年の十月、半七があさ湯にはいっていると、子分の一人があわただしく迎え

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 時代推理小説 半七捕物帳(二)
  • 光文社時代小説文庫、光文社
  • 1986(昭和61)年3月20日