くさりこうじょう
鎖工場

冒頭文

夜なかに、ふと目をあけてみると、俺は妙なところにいた。 目のとどく限り、無数の人間がうじゃうじゃいて、みんなてんでに何か仕事をしている。鎖を造っているのだ。 俺のすぐ傍にいる奴が、かなり長く延びた鎖を、自分のからだに一とまき巻きつけて、その端を隣りの奴に渡した。隣りの奴は、またこれを長く延ばして、自分のからだに一とまき巻きつけて、その端をさらに向うの隣りの奴に渡した。その間に初

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 全集・現代文学の発見 第一巻 最初の衝撃
  • 學藝書林
  • 1968(昭和43)年9月10日